著者:カズオ・イシグロ
評価:☆☆☆☆
カウント:34冊目@2011
戦後、復興しつつある長崎の町で、主人公である悦子が佐和子との出会いを通じ、人生の方向を変えていく。悦子による1人称の語り口ながら余計な心理描写が排除されているので、彼女自身の考え方は控えめな彼女の会話と、並行して進む現在の彼女の姿とから推察せざるを得ない。そのように読者に推察の余地を与えることで、物語に深い印象と奥行きとを与えている。
過去の自分やその考え方と現在の状況との対比という意味では、「日の名残り」に通じるものがある。しかし、本作では悦子と佐和子との完全な符合が若干作為的な印象を与えるので、その辺りが「日の名残り」との違いかもしれない。
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