2013年10月29日火曜日

映画:恋するリベラーチェ

監督:スティーブン・ソダーバーグ
評価:☆☆☆☆☆☆
公式サイト
カウント:35本@2013

ピアニストであるリベラーチェ(リー)と、その恋人スコットとの物語。彼らが出会ってから別れ、リベラーチェが無くなるまでが描かれています。

とにかく映像がめっちゃゲイゲイしい。リベラーチェ及びスコットのファッションも非日常的だし、リベラーチェの趣味もかなり派手なので、映像のインパクトがめちゃくちゃ強いです。そのインパクトの中にブラックユーモアがそこかしこで利いていてよく笑えます。性的な描写がかなりきちんとなされているのも好ましいポイントですね。

そして、マイケル・ダグラスの演技がいい。ピアノを弾く魅力的な姿、そのチャーミングなキャラクタなんかが、見ていてとても好ましいです。舞台も圧巻ですね。ゴージャス。にも関わらず、登場する裸はかなり無防備な感じなので、そのギャップが、彼の脆さを表しているような気がして、とても良い。
そして、マット・デイモンも併せ、痩せたり太ったり整形したりカツラつけたり取ったりと、いろんな姿に変わっていくので混乱してきます。もうグチャグチャ。

その混乱した世界観の中で、リベラーチェもスコットも、共に孤独を感じ、その孤独故にくっつき、更に離れることになる姿は見ていて切ないです。悲劇的な別れがわかっていてもくっついてしまうってのは、人間の性ですね。

かなり良くできた映画だと思います。見た目のインパクトが受け付ない人でない限り、オススメしたい作品です。スティーブン・ソダーバーグ、この作品で引退するのは残念です。できればもっと撮っていただきたい。

2013年10月26日土曜日

映画:マイレージ、マイライフ

監督:ジェイソン・ライトマン
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:34本@2013

2回目。アメリカ全土を飛び回るリストラ職人(と言っていいのか?)である主人公(ジョージ・クルーニー)が、家族の結婚式、新たに入社した新人への教育、気楽な付き合いをしている女性たちを通じて、家族や人生について考えていくお話です。趣味はマイルを貯めること。

テンポが良いし、ユーモアが効いている。何よりストーリーが面白い。
この映画では、リストラされるたくさんの人々が、その旨を告げられた時に、其々にいろんなことを語ります。こんなにたくさんの反応があるのか?と驚かされます。それがまた良い。

それぞれいろんな人生があり、そこに突然曲がり角がやってくる。ジョージ・クルーニー氏が作中で語るように、そこをそっと背中を押すことができれば、それに越したことはないですよね。解雇を告げるリストラ職人も、決してネガティブな仕事というわけではありません。

いいですよね、ジョージ・クルーニー。渋くてユーモアがあり、こういう普通の人の役で、個性を発揮しすぎない。この映画を、スターオーラが出まくったトム・クルーズにやられても困りますよねぇ。

2013年10月23日水曜日

映画:宇宙兄弟

監督:森義隆
評価:☆☆☆1/2
カウント:33本@2013

同名原作であるマンガの実写映画化。子供の頃は共に宇宙に憧れたムッタ(小栗旬氏)とヒビト(岡田将生氏)の兄弟のお話です。

ヒビトが宇宙に出発するあたりまではいいと思います。私の原作への思い入れがとにかく強いので、ストーリーの足りない部分も原作の記憶で補いながら熱い気持ちを味わい、何度も涙しました。
そして、多分JAXAもNASAも協力を得た結果、実写で宇宙飛行士の訓練の姿の一端を見れるのは本当にワクワクしました。

問題は、ヒビトが宇宙に出発して以降。正直、グダグダ。ムッタのテストも月でのヒビトの救出も、もう何がなんだか。
なんやねん、あのムッタの試験の茶番っぽさは。
そして、ムッタの思いが遠く離れたヒビトに届く、みたいな演出、日本映画多すぎでしょ。ああいう「絆」とか「思いが届く」とかみたいなの、本当に気持ちが離れていく。原作みたいに、行動で裏付けられた思いの届け方をしていただきたい。ストーリー展開も遅い。

それにしても、月の重力が強すぎる。もう少しリアリティ出せなかったんですかね?全体的に金がかかっている雰囲気はものすごくあるし、日本のCG映画に漂いがちなチープさは全然感じないので、すごく残念。

ものすごく勿体無い映画。繰り返しになりますが、ヒビトが月に行って以降のストーリーを変えていただければ、もっといい映画になったと思います。 原作は本当に面白いし、熱い心が味わえるし、オススメです。ぜひ読むべき。子供の教育にもいいと思います。

2013年10月19日土曜日

映画:謝罪の王様

監督:水田伸生
評価:☆☆☆1/2
公式サイト
カウント:32本@2013

東京謝罪センターの所長を演じる阿部サダヲ氏を中心に、case 1からcase 6まで、いろんな人達が謝罪するお話。

岡田将生氏のストーリーと高橋克実氏&松雪泰子氏のストーリーは結構おもしろかったんですけど。竹野内豊氏のストーリー以降、後半にいくにつれて、どんどん力が弱くなってくる。特にマンタン王国の話は、爆発的な笑いは散発的にあるんだけど、全体として長いしテンポが悪いので見ててダレる。もう少しなんとかならんかったんですかね。

ストーリー間の絡みも弱い。絡ませるならもう少しガッツリ伏線を絡ませないと面白さが出ないと思うなぁ。中途半端です。

岡田将生氏は、かなりいいですね。彼、クールな雰囲気を醸し出しながら、はっちゃけるってのが期待を裏切っておもしろいです。コメディのセンスがあると思う。ネタバレになるので詳細は省きますが、「ぱしかに」「パスカル」「ラスカル」はかなりウケました。

最後のE-girlsを始めとするEXILEファミリーによるパフォーマンスも商業の匂いが強すぎる。プロモか?プロモなのか!?

豪華な俳優陣を集め、俳優陣はそれなりにコメディに振り切ってるのに、見終わった後に残る残念さ。もったいないなぁ、この映画。ワキ毛ボーボー自由の女神。うーむ。

2013年10月14日月曜日

書籍:君について行こう(上) 女房は宇宙をめざす(Kindle)

著者:向井万起男
評価:☆☆☆☆
カウント:49冊目@2013

日本初の女性宇宙飛行士である向井千秋さんの夫である向井万起男氏の著書。向井千秋さんの生い立ちからご夫婦の馴れ初め及び生活、打上げ前の渡米までが書かれています。

こういうバイオグラフィは、その存在だけで貴重です。宇宙飛行士ってものすごく特別な存在ですが、個人としてどういう存在であるのか、家族とどう接しているのかをシェアするのは大事なことだと思います。

この本を読む限り、向井万起男氏と向井千秋さんのご夫婦の間にはそれなりに距離感(アメリカと日本という物理的な距離も含む)があるので、宇宙飛行士になるために向井千秋さんがどのような努力をされていたのか、といったことはこの本からはわかりにくいです。しかしながら、万起男氏や千秋さんのパーソナリティはよく伝わってきます。少なくとも、千秋さんがかなりユニークなキャラクタだということはよくわかりますし、万起男氏が千秋さんのそのキャラクタに感心し、好意を持ちながら家族として支えたいと考えていらっしゃるのもよくわかります。

想像よりも、万起男氏が「男は~」「女は~」を意識されていることに驚きました。向井千秋さんの夫にして長い別居婚を続けていらっしゃるからには、よほど進歩的な考えをお持ちなのかと思っていたので、予想を裏切られましたね。ま、いいんですが。

2013年10月12日土曜日

書籍:クラウドソーシングの衝撃(Kindle)

著者:比嘉邦彦、井川甲作
評価:☆☆☆☆
カウント:48冊目@2013

クラウドソーシングの仕組み、そこから発生している/すると見込まれる今後の社会変化、クラウドソーシングを活用する上での注意事項、今後の展望、等が余すことなく書かれています。

面白い。アウトソーシングが日本でも活用されるようになって久しいですが、より細かな、個人単位で外部の力を活用しよう、という動きですね。これまで、Linuxの開発やWikipedi等で個々人(クラウド)の力が活用されて大きな結果を発揮するプロジェクトがありましたが、これらをビジネス等にも発展させていこう、ってことだと思います。
本格的に活用されれば、かなり大きなインパクトを持ちうる動きだと思います。

個人 ⇒ 小遣い稼ぎやパートの代わり、新しいキャリアへのチャレンジとして働ける。成果を重ねていけば、個人事業として立ち上げていくことも可能かも。

労働者⇒ 単純労働は、クラウド上の多数の人達との競争することになるため、競争激化。結果として給与は低下する見込み。一方、管理等のクラウドソーシングしづらい業務の必要性や付加価値は向上。

企業 ⇒ 大幅なコストダウンが可能。クラウドソーシングに乗り遅れれば競争に敗れる可能性大。但し、クラウドソーシングの活用には様々なノウハウが必要であり、そのノウハウの構築、発展が不可欠。

おもしろいですね~。ネットって、すげぇポテンシャルだな。

この本はポイントを網羅的かつコンパクトにまとめているので読みやすく、しかも想像力がかきたてられます。オススメ。

2013年10月11日金曜日

書籍:ザ・万歩計(Kindle)

著者:万城目学
評価:☆☆☆☆
カウント:47冊目@2013

「鴨川モルホー」「鹿男あをによし」「とっぴんぱらりの風太郎」等の万城目学氏によるエッセイ集。それぞれのエッセイは勿論読み物として面白いのです。加えて、万城目学氏の過去を振り返っているものが多いため、彼の生い立ちを知るという意味でも、読む価値はあると思います。

私が一番好きなのは、冒頭にある「壊れかけのRadio局」です。「ツ・ツ・ツ・ツ・・・」という音を延々と流し続けた話(詳細は読んでください)や、カミカミの女子アナのエピソード等、かなりシュールです。そして、そんなひどいラジオ局をわざわざ好んで聴いておきながらも、苦情のメールを書くという暴挙に出る万城目氏も理解できません。いいっすね~

それにしても、就職後、東京転勤とともに退職し、大阪出身にもかかわらず東京に出てニートとして小説を書き続け、デビューに至る物語はなかなか凄いです。これらの流れは事実としては知っていたのですが、詳細を彼の文章で読むと、更に信じられないという思いになりますね。デビューも決まってないニート生活の中、「鴨川モルホー」という馬鹿げた(失礼)物語を書いてしまうその神経の図太さにも感心します(最大限に褒めています)。もちろん、その時追い込まれていたのだろうとは思いますけれども。うーむ。

とりあえず面白いので、彼のファンなら読んでみてはいかがでしょうか。

2013年10月6日日曜日

書籍:とっぴんぱらりの風太郎

著者:万城目学
評価:☆☆☆☆1/2
カウント:46冊目@2013

万城目学の最新作。現代を舞台としていた「鴨川モルホー」や「鹿男あをによし」等とは違い、豊臣秀吉の没後の時代を舞台とした物語。伊賀忍者である風太郎が主人公です。
かなり長い話だし複雑に絡み合ったストーリーなので要約するのが難しいのだけれど、伊賀を追い出された風太郎が、京都で怠惰な生活を送っていたところ、色々あって(笑)、落城寸前の大阪城に潜入することになるお話です。

忍者が主人公ということで、万城目学が得意とする奇抜な物語かとおもいきや、時代小説ということもあり、ひょうたんから神(なのか?)が出てくるといった多少たわけた事があっても、あまりファンタジー感はありません。忍者が主人公とはいえ、非現実的な術とかは出てこないので、現実的な物語だ、という印象さえ受けます。「鴨川モルホー」とか「鹿男あをによし」とかの方が遊んでる感がありました。

物語の視点は主人公である風太郎に固定されている一人称の小説です。風太郎がやる気のない男なので、堅い感じで物語が進むわけではないのですが、物語全般に、ずっと悲しい予感が漂っています。特に、風太郎が人を殺めることになる辺りからは、物語がグッと重みを増してきます。
そんなわけで、コメディ色が強いドタバタしたファンタジー小説であった「鴨川モルホー」や「鹿男あをによし」とは違い、今回はシリアスとさえ言えると思います。

ボリュームがあり、比較的シリアスな物語でありながらも、読みにくくはありません。ユーモラスなエピソードが散りばめられているし、何より物語が面白いので、最後までグイグイ惹きつけられます。一回物語の世界に入ってしまうと、読むのを止められなくなっちゃいます。

正直言って、この物語であれば、ここまでの分量は要らなかったんじゃないかとは思います。しかしながら、この長さがあるからこそ、読んでいて江戸時代初期(豊臣末期)の時代へ頭がタイムスリップできるんだと思うし、ストーリーの複雑さも増す。何より、物語に奥行きが出ます。「こんなつもりじゃなかったんだけどな」とでも言いそうな風太郎の姿が目に浮かぶような気がするのは、この物語のボリュームがあってこそです。

それにしても、第九章~終章の物語が持つ重みはかなりのものですね。自由と使命について考えさせられるわけで。

ところで、この物語から数百年経った大阪を舞台にした話が「プリンセス・トヨトミ」なんですかね?ちょっとネタバレですけれど。

2013年10月5日土曜日

映画:紅の豚

監督:宮崎駿
評価:☆☆☆☆
カウント:32本@2013

豚になった中年の飛行機乗りのお話ですか。全く見たことがなかったので、こういう話だったのね、ふーん、という。

基本的にはハード・ボイルド。主人公のポルコがクールに空を駆けまわる姿はかなり格好良いです。ジーナとの淡いオトナの恋も味わい深い。ユーモアもあるものの、全般的に、あまり子供向けの話ではないですね。

うーむ。

2013年10月4日金曜日

書籍:ワンクリック(Kindle)

著者:リチャード・ブラント
訳者:井口耕二
評価:☆☆☆☆1/2
カウント:45冊目@2013

amazon.com創始者であるジェフ・ベゾスの生い立ちから現在に至るまでを描いた本。アメリカってこの手のバイオグラフィが充実してていいですねぇ。私は結構この手のバイオグラフィを読むのが好きなのでとても楽しく読みました。

Appleのスティーブ・ジョブズの影に隠れてあまりメジャーじゃないけれど、社会に与えたインパクトと言う意味では、ジェフ・ベゾスの方がスティーブ・ジョブズより上じゃないかなぁという気がします。なんてったって、小売の仕組みを大幅に変えようとしてますからね。家でクリックしたら当日に商品を届けてくれる、引きこもり補助システム。しかも、外出して買うより安い。素晴らしいです。

ジェフ・ベゾスのすごさはLong Termに立つその視野にあるような気がします。長年赤字を垂れ流しつづけながら大きくするなんて、かなりの心臓の強さがないとできることじゃありません。スティーブ・ジョブズも比較的長期的視野に立っているように思うけれど、ジェフ・ベゾスの方が圧倒的に長期的スパンで考えているように思います(倒産寸前だったAppleでは、赤字を垂れ流すわけにはいかなかったでしょうが)。

考えてみれば、Kindleに関しても、投入直後は結構散々な言われようでしたが、今や確固たる地位を確立しています。私自身もかなり懐疑的でしたが、今やKindle(アプリですが)の虜。先日海外に行った時にも、70歳くらいのおじいさんがプールサイドでKindleで読んを読んでいる姿を見かけました。こんな未来を描いて実現するなんて凄いですよね。
私には未来を見通す力は全く無いので、うらやましい限りです。

この本に関して言えば、ちょっと弱いかなぁという印象は受けます。特に、amazonが軌道に乗って以降(黒字転換して以降)のエピソードが弱い。ジェフ・ベゾス本人のインタビューがないからかもしれないですが、物語性が弱く、事実の羅列になっているような気がします。ま、仕方ないとは思いますが。

何はともあれ、ジェフ・ベゾスのすごさを知るにはとてもいい本だと思います。オススメです。

2013年10月3日木曜日

書籍:ロスジェネの逆襲(Kindle)

著者:池井戸潤
評価:☆☆☆☆☆
カウント:44冊目@2013

半沢直樹シリーズの第3弾です。東京セントラル証券に出向した半沢の姿が描かれています。今回の舞台は、ITバブル崩壊後のIT業界内のM&A合戦です。

序盤、ロスジェネ世代である森山などを中心に物語が描かれており、半沢はすごくおとなしいので、「どうしちゃったの?」と戸惑ったのですが、後半に行くといつもの半沢が復活します。かれが気炎を吐くとやっぱりすごいですよね。
今回の半沢は東京セントラル証券の親会社である東京中央銀行の伊佐山と戦うことになるのですが、この伊佐山がかなり手強い相手なので、最後はどうにかなるんだろうと思いながらも、読んでいてハラハラさせられます。そして今回の舞台となるIT企業各社のトップたちもアクの強いキャラクタ揃いなのがいいですね。「エグい」感じが出てます。

ただ、普通公開買付けによるM&Aでは、大株主の動向とかが最も大きなところだし、特に上場間もないIT企業だと、創業家やベンチャー投資家等がかなりの株を抑えている場合が多いと思うのだけれど、その辺りの株主の動向はあまり描かれていません(東京スパイラルの共同創業者の株は出てきますが)。そのあたりが、なんとなくちょっとリアリティ感を損なわせているような印象はありますね。いや、そこまで触れ始めると物語が発散するのはわかるので、別にいいと思うんですけど。

まぁとにかく面白い。シリーズ3作の中でも一番面白いです。一回読み始めたら止められなくなります。一気読み。