2015年9月14日月曜日

映画:ピースオブケイク(映画館)

監督:田口トモロヲ
評価:☆☆☆

うまく男性とつきあえなくて、幸せの絶頂でネガティブ思考が入ってきてそれを壊してしまう女性、梅宮志乃(多部未華子氏)のお話。

ラブストーリーって本当にたくさんの映画やドラマがあるので、かなり枯れてる分野だと思うんですが、これは新しいですね。恋愛が下手な女性ってのは結構あるんだけど、男性側のキャラクタがリアル(≒異様にダメ男だったり、異様に男らしかったりしない)なのがいいんだと思う。でも決して凡庸なわけじゃなくて、普通ではちょっと起こらない展開もちゃんと起こる。その辺りのバランス感覚が絶妙な映画。

綾野剛氏が新境地を開いています。従来の綾野剛氏のイメージに全くない、ラブラブな恋愛モードの雰囲気がものすごく新鮮。硬派な外見を備えながら、恋愛モードに場合によって振り切るこういうキャラクタって、(他の役者でも)見たことないです。
松坂桃李氏のオネエ役もハマってるし、多部未華子氏の強気でグチャグチャ悩む感じもリアル。俳優陣が役とガッチリ咬み合っている気がします。

映画:at Home(映画館)

監督:蝶野博
評価:☆☆☆

全く関係のない泥棒の男性(竹野内豊氏)、結婚詐欺師の女性(松雪泰子氏)、子どもたち3人の計5人が自発的に家族を構成し、暮らしていくお話。

設定的にはものすごくいい線をついてると思うんだけど、ストーリーの詰めの甘さがどうしても気になる。たとえ泥棒や詐欺師で生計を立てるにしても、戸籍を偽った5人の人間が身を寄せ合って一つ屋根の下で生きていくのって本当に難しいと思う。また、5人が集まることになる経緯(特に、竹野内豊氏と松雪泰子氏が一緒に暮らす経緯)がよくわからない。

社会からどうしてもはじき出されてしまう人は、絶対的に存在するわけだけど、そういう人たちをどうやって社会の共助の枠組みに入れていけばいいんですかね。そればっかり考えてしまう映画でした。

2015年6月9日火曜日

映画:カノジョは嘘を愛しすぎてる(TV)

監督:小泉徳宏
評価:☆☆☆
カウント:15本目@2015年

活躍中のバンドであるクリプレで楽曲作成を行っている秋と、それを知らずに秋と付き合い始めた女子高生でバンドのボーカルをつとめる理子とのラブストーリー。

理子を演じる大原櫻子氏はとても歌がうまいですね。透明感がありながらよく伸びる声は、秋が惹かれるのに十分な説得力を持っています。

少女漫画原作の割にはあんまりキュンキュンポイントがよくわかりませんでした。私には乙女ゴコロはわからないんでしょう。

2015年6月1日月曜日

映画:ザ・インタープリター(TV)

監督:シドニー・ポラック
評価:☆☆☆
カウント:14本目@2015年

国連の通訳であるシルヴィア(ニコール・キッドマン氏)が、アフリカの大統領の暗殺計画を聞くことから始まるサスペンス。ニコール・キッドマン、ショーン・ペンという豪華なキャストの演技、及び国連本部の内部を見ることができる貴重な映画です。

ストーリーが結構複雑で、しかも登場人物が多いのでわかりにくい。「これ、どっかで見たけど誰だっけ?」みたいな人がたくさん出てきます。ニコール・キッドマン演じるキャラクタもかなりいろんな過去を抱えていて、それが少しずつ明らかになってくるのは面白い反面、理解が追いつくのにちょっと時間がかかりますね。

キャストが豪華なだけに、ちょっともったいないかなぁ。

書籍:40歳からの会社に頼らない働き方(kindle)

著者:柳川範之
評価:☆☆☆
カウント:11冊目@2015年

タイトル通り、会社に依存しない生き方を提唱しています。

会社に頼らないようにするというコンセプト自体は私も支持するのですが、「頼らないようにする」ための方法が、一応提示されているものの、いかんせん具体性に欠けるというか説得力に欠けるというかなんというか。いや、わかるんですけどね。

うーむ。

2015年5月25日月曜日

映画:セント・オブ・ウーマン/夢の香り(DVD)

監督:マーティン・ブレスト
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:13本目@2015年

名門高校に通う高校生チャーリー(クリス・オドネル氏)が、感謝祭の休暇の間、盲目の元軍人スレード中佐(アル・パチーノ氏)の世話をすることになり、2人が感謝祭の休暇をニューヨークで一緒に過ごす物語。かなり難しい性格である中佐と、イノセントなチャーリーのコンビが、少しずつ心を交わしていくことになります。

メインとなる2人が好対照をなしています。正直なところ、アカデミー賞を受賞したアル・パチーノ氏の演技は少し見ていて暑苦しさはあるけれど、でも、殆ど動かないのに力強い目がとても印象的です。翻ってチャーリーを演じるクリス・オドネル氏も、未熟な若々しさをうまく表現していると思います。

いいですよね、この映画。かなり昔に見たことがあるのだけれど、今見返しても全然色褪せない良さがある。「正しい道はいつもわかっていた。でも選ばなかった。困難だったからだ」という中佐の演説は、30代半ばになった今、本当に身につまされます。

2015年5月18日月曜日

映画:ショコラ(TV)

監督:ラッセ・ハルストレム
評価:☆☆☆☆☆
カウント:12本目@2015年

遠い昔に見て以来2回目の鑑賞。フランスの保守的な街にやってきた母娘がチョコレート屋を開き、街に新風を吹き込んでいくお話です。保守的な規律と規範にがんじがらめになった人々の心を、チョコレートと主人公であるヴィアンヌ(ジュリエット・ビノシュ)が少しずつ溶かしていきます。

ストーリーはかなり単純であり、保守的な悪役である伯爵があまりにバカにされているので、規範を重んじる方は若干不快に感じるかもしれません。しかしながら、ジュリエット・ビノシュはとても素敵だし、コメディタッチの軽やかな物語の展開も心地よいです。好き。

書籍:人工知能は人間を超えるか(Kindle)

著者:松尾豊
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:10冊目@2015年

世の中でAIブームが来ています。
それに伴い、様々な議論がなされているのですが、どの程度のことが実現可能性があるかを全く考慮せずに議論されており、私にはどうにも違和感しか抱けなかったところ(私が「そんな心配いらんやろ」と思っている部分で問題提起されていること多数)、この本では、できることとできないことが明確に提示されています。

AIの未来像については、私よりは若干楽観的ではあるものの、大体私の考える方向性と同様だったので、スッキリです。
が、著者はやはり第一人者だけあって、掘り下げが深い。AIの実現可能性のある範囲(私の気づいていない部分を含む)が、わかりやすく提示されています。ちゃんと技術的な説明もありつつも、誰にでも理解できるように書かれているので、AIの入門書としてピッタリだと思います。さすが。

従来からあったニューラルネットワークと、今話題のディープラーニングと何が違うのか、これまでいまいち分からなかったのだけれど、ようやく多少理解できました。なるほどねぇ。

人工知能について知りたい!という人なら絶対に読むべき本。超おすすめ。

2015年5月15日金曜日

書籍:「働き方」の教科書―「無敵の50代」になるための仕事と人生の基本―(Kindle)

著者:出口治明
評価:☆☆☆
カウント:9冊目@2015年

ライフネット生命の会長である出口氏の本。

出口さんの本は結構拝読しているのですが、ビジネス書系の本は出てくるエピソード等に重複が多いですね。読みやすいし納得感もありますが。

書籍:女のいない男たち(紙)

著者:村上春樹
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:8冊目@2015年

再読

個人的な好みで言えば、初めの2本「ドライブ・マイ・カー」と「イエスタデイ」が好きだけれど、「木野」の持つ重みもいいし「シェエラザード」の持つ空気感も良い。特に、「木野」は村上さんらしい小説ですね。傷つき、ふとしたきっかけで非現実的なことが発生し、事態が動いていく。

うーむ。やはり村上さんの小説はいいなぁ。

映画:ノルウェイの森(Blu-ray)

監督:トラン・アン・ユン
評価:☆
カウント:11本目@2015年

私が原作小説を何十回も読んでいるという事実を差し引いたとしても、平たく言って大事故じゃないかなぁ。

言いたいことはゴマンとあるけど、キリがないのでやめときます。

2015年5月11日月曜日

映画:セッション(映画館)

監督:デミアン・チャゼル
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:10本目@2015年

全米トップの音楽学校でジャズドラムを学ぶ学生と教師とのお話。偉大な音楽家になりたいと思い、そして偉大な音楽家を育てたいと思う。ある部分で噛み合い、他方で反目しあう2人の関係性がうまく描かれていると思います。態度が豹変する教師役のフレッチャーは本当に怖すぎる。

いいですねぇ。真剣になるってこういうことです。競争社会の中でトップに上り詰めるっていうのはまさに熾烈なんだなということがよくわかります。ぬるい社会にいる私には想像もつかない努力や戦いがあるんでしょう。めっちゃ熱いです。

ドラムも映像も格好良すぎる。こういう映画、たまらないっすね。「バードマン」もかなり格好良かったけど、こっちの方が映像もあいまったリズム感があって好みです。

映画:ビフォア・ミッドナイト(Blu-ray)

監督:リチャード・リンクレイター
評価:☆☆☆☆☆
カウント:9本目@2015年

前作「ビフォア・サンセット」は「ビフォア・サンライズ」の9年後でしたが、本作「ビフォア・ミッドナイト」は前作「ビフォア・サンライズ」の更に9年後を描いた作品。ウィーン、パリときて、今回の舞台は、バケーションで訪れたギリシャです。

前作までと同様に、2人で話す場面が大半を占めていますが、近隣の人たちとのランチしながら議論するシーン等もあり、これまでに比べると2人芝居の割合は低くなっています。でも本作は、かなりお互いに感情をぶつけあうので、これ以上2人芝居が増えるとちょっと食傷気味になってたかも。これくらいが良いバランスだと思います。

歳を重ねるってのは難しいですねぇ。いろいろと考えるべき変数が増えるのが歳を重ねるということなんでしょう。ただ恋に落ちて電車を降りればいいだけだった20代とは違います。

是非とも次作も作っていただきたい。

2015年5月8日金曜日

書籍:リー・クワンユー、世界を語る 完全版(Kindle)

著者:グラハム・アリソン、ロバート・D・ブラックウィル、アリ・ウィン
訳者: 倉田真木
カウント:7冊目@2015年

先日なくなったシンガポールの元首相であるリー・クワンユー氏による世界情勢に対する見解が質疑応答の形で記載された本。2015年現在に限りなく近い時点までの見解が示されています。

中国とアメリカとの強さ/弱さをスパッと説明した上で世界情勢がどのように展開していくかの予測等が示されています。こんなにわかりやすく、また説得力を持って世界情勢や今後の展望が示された本は他にちょっとないと思います。西欧から離れた視点というのがいいんだろうなぁ。シンガポールがこの短期間に急成長できた理由もよくわかりました。

めちゃくちゃ面白いです。読むのをやめられなくなります。激賞。

映画:ブルージャスミン(DVD)

監督:ウディ・アレン
評価:☆☆☆☆
カウント:8本目@2015年

マンハッタンにセレブとして暮らしていた女性ジャスミンが主人公。夫が詐欺容疑で逮捕され、妹を頼ってカリフォルニアにやってきます。

ケイト・ブランシェット氏は、過去にしがみつき、そして転落する人生をなんとかしたいと足掻く、狂気を滲ませる女性をうまく演じています。あの女性、今後どうなるんでしょうね。ちょっと想像がつかないなぁ。

それにしても女性って怖いわ。。ゴーン・ガールほどじゃないけど、女性を怒らせちゃいけないということを強く実感させてくれます。

2015年5月7日木曜日

映画:ビフォア・サンセット(DVD)

監督:リチャード・リンクレイター
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:7本目@2015年

前作「ビフォア・サンライズ」の9年後を描いた作品。前作同様、イーサン・ホーク氏演じるジェシーと、ジュリー・デルピー氏演じるセリーヌが、限られた時間を街を歩きながらずっと2人でしゃべり続けます。

が、今回は、前作よりもロマンチックさが薄れ、一方で会話の中身に重みが増してきます。歳を重ねるということがどういうものなのかが、会話を通じてひしひしと伝わってきます。「あのとき、もし・・・」なんて言っても仕方ないけれど、でもどうしても考えてしまう部分はあります。

境遇はかなり違いますが、登場人物たちと私はそれほど年齢も変わらないので、身につまされますね。生きていくこと、その為に選択することというのはそんなに簡単なことじゃないですよね。

かなり面白いです。続編である「ビフォア・ミッドナイト」も見ざるを得ない。

書籍:ザ・ゴール(Kindle)

著者:エリヤフ ゴールドラット
訳者:三本木亮
カウント:6冊目@2015年

業務プロセスを改善することにより工場を3ヶ月で立て直す話。ビジネス書と言って構わないと思いますが、小説という形をとっていることで、グイグイ内容に引き込まれていきます。どうすれば課題が打破できるんだろう?と考えながら読み進めることができる点で、ちょっとミステリーに近いですね。

企業の目的とは何なのか。そこを起点に考えるというのは、簡単なようでとても難しいですね。とても耳が痛い。

日本が元気な頃に書かれた本なので、舞台設定には随分と隔世の感がありますが、書かれている内容自体は今でも有効に読めると思います。

2015年4月23日木曜日

映画:アメリカンスナイパー(映画館)

監督:クリント・イーストウッド
評価:☆☆☆☆☆
カウント:6本目@2015年

カウボーイだった主人公であるマイク・カイル氏が米軍に入隊し、スナイパーとしてイラクへ派兵される、実話に基づいた映画。

クリント・イーストウッド監督作ということで、ただただ淡々と過剰演出なしにストーリーが進んでいきます。それゆえに、戦争体験というものは本当に熾烈なんだな、ということがとても良く実感できます。

第二次世界大戦クラスの戦争であれば、もちろんその被害の甚大さを私も認識していたわけですが、ここ10~20年の先進国による中東やアフガニスタンへの派兵は、空爆もあるし、兵器の自動化等も進んでいるので、もう少し被害が小さいのかと思っておりました。私の認識は甘かったですね。あんなところに派遣されたら、無事に生きて返ってくるなんて奇跡だし、心を平穏に保つなんてとても不可能だと思います。戦争の良し悪しはともかくとして、従軍された方々の名誉というのは、確かに守られるべきもののように感じました。

私は、この人が現在どうなっているかを知らなかったので、映画の結末には驚きました。人生というのはなかなかに難しいものです。

書籍:有頂天家族 二代目の帰朝(紙)

著者:森見登美彦
評価:☆☆☆☆
カウント:5冊目@2015年

「有頂天家族」の続編。三部作とのことで、あと1冊出る予定のようです。

天狗である二代目の帰京に伴う天狗界の覇権争い、長男である矢一郎の偽右衛門襲名&ラブストーリー、主人公である矢三郎のラブストーリー、父の復讐、狸鍋を食す木曜倶楽部vs狸ラブの金曜倶楽部の戦い等々、様々な物語が複雑に絡まり合っています。舞台も、京都をメインとはしているものの、滋賀や奈良、有馬温泉(兵庫ですね)、地獄まで出てきます。分量も多く、大作です。

狸を主人公にすることで、生きていくことの可笑しみみたいなものがうまく浮かび上がってくるのは前作に通ずるところです。一方で、グイグイストーリーに引き込んでいくか、というとそうでもないかなぁ。ストーリーが複雑になった結果、ドライブ感みたいなのが損なわれている気がします。その辺りはちょっと残念。

2015年4月22日水曜日

書籍:NOVEL 11, BOOK 18

著者:ダーグ・ソールスター
訳者:村上春樹
評価:☆☆☆☆☆
カウント:4冊目@2015年

主人公である男性が、不倫の末、家族を捨てて愛人を追いかけるところから始まる物語。描かれている世界は極めてリアルなんだけど、とにかく奇妙。物語の展開もわけがわからないし、文章も変わってる。最後に流れていく方向も不思議。でも、リアルさはちゃんとあるので人生ってこういう不思議なものかもしれない、とも思わされる。こんな小説読んだことないです。小説ってまだまだ可能性があるんだなぁと感心させられました。

好みはわかれると思いますが、面白いです。読む価値あり。

映画:博士と彼女のセオリー(映画館)

監督:ジェームズ・マーシュ
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:5本目@2015年

スティーブン・ホーキング氏の研究生活や夫婦生活等を含む半生を描いた作品。これまで車いすの物理学者、くらいの認識しかありませんでしたが、彼の人間としての姿が描かれているので、彼の人間としての普通さ、偉大さ、人生の難しさみたいなものをありありと感じることが出来ます。

スティーブン・ホーキング氏を演じたエディ・レッドメイン氏は素晴らしいですね。見事としか言いようがないし、アカデミー賞も、彼が取らなかったら他に誰が取り得るんだというレベルです。私の記憶するホーキング博士そのものと言っても過言ではありません。病気の進行する様子もとてもリアルに演じています。特に病気発覚後の、思うように身体が動かなくなり、その姿をジェーンに見せるシーンには涙が止まりませんでした。

原題は"The Theory of Everything"ですが、原題の方がいいと思います。この映画に限らず、安易にラブストーリーを匂わせる邦題をつける傾向は、本当にやめていただきたいものです。

2015年4月21日火曜日

書籍:神様のカルテ0(紙)

著者:夏川草介
評価:☆☆☆☆
カウント:3冊目@2015年

神様のカルテは1~3がリリースされていますが、神様のカルテの1作目よりも前を描いた短編が4つ入っています。

医療は生と死、理想と現実が交錯しまくっている分野なので、その中で葛藤を抱きながら戦い続ける登場人物たちのドラマがちゃんと描かれているのが、このシリーズのいいところですね。個人的には、ハルの物語である「冬山記」が好きです。

うっかりすると泣きそうになるのは相変わらず。

映画:イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密(映画館)

監督:モルテン・ティルドゥム
評価:☆☆☆☆☆
カウント:4本目@2015年

アラン・チューリング氏をモデルとしたお話。世間一般においてアラン・チューリング氏がどの程度有名なのか知りませんが、私が大学時代に勉強していた分野では誰でも知ってる超有名人だったので、その興味だけで見に行きました。

とにかく<すごい人>というイメージしかありませんでしたが、こうやって一人の人間として映画で描かれると、彼の人物像が私の中で立ち上がってきます。天才と言えどもやはり人間の一人であり、生きていくというのは本当に大変だなぁと思います。まさか、アラン・チューリング氏が、あんなに不遇な結末を迎えているとは想像だにしておりませんでした。

本作、映画としてのクオリティも高いです。彼の人間性がありありと描かれているだけでなく、彼の業績の凄さが、誰が見てもわかる形で(映画で描かれているよりも、彼の功績は偉大だと思いますが)提示されているのがいいですね。

2015年4月13日月曜日

映画:バードマン(映画館)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
評価:☆☆☆☆☆
カウント:3本目@2015年

かつて映画で「バードマン」を演じた主人公が、起死回生を狙って舞台「愛について語る時に我々の語ること」を演出/出演するブラックコメディ。もちろん簡単に目論見通りには運ばないので、色々と主人公は苦悶します。

自分には特別なものがあるはずだ!とどこかで信じながら、鬱々とした感情を抱いてあがき続ける主人公の姿は、ある程度年齢を重ねた男性ならよく分かるんじゃないかと思います。

ワンカットに見せながら、ブリーフ一枚でブロードウェイを歩く馬鹿げたシーンを挟んだり、SF的演出を挟んだりと、演出にも趣向が凝らされています。全然ダレないのもすごいですね。映像も、ドラムの音も格好いい。

一般受けする映画だとは思わないけど、新しいですね。面白いです。

映画:エイプリルフールズ(映画館)

監督:石川淳一
評価:☆☆☆1/2
カウント:2本目@2015年

嘘から始まるいくつかの出来事を描いた群像劇。それぞれの物語が少しずつ重なるんですが、全体のストーリーラインから浮いている話が2つありますね。もう少し丁寧にちゃんと描くか、他の話と絡ませるかすればいいんじゃないかと。

ストーリーも笑いも、ちょっと弱いかなぁ。それぞれ結構いい感じなんだけど、イマイチ弾けてない。「ビヨーン!」は確かに面白かったけれども。むむむ。

2015年4月6日月曜日

書籍:How Google Works -私達の働き方とマネジメント(Kindle)

著者:エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジ
評価:☆☆☆☆
カウント:2冊目@2015年

まさにタイトル通り、Googleの社内がどのようにして動いているか、が描かれた本。スマート・クリエイティブを惹きつけ、彼らに高いモチベーションでより良いアウトプットを出してもらうために様々な取組みがなされていることが書かれています。

普通の組織が真似できるか、というとそういうことは無いと思うけれど(まず、優秀な人物だけを集めることがとてつもなく難しい)、この本を読むと、徹頭徹尾考えぬいて組織やポリシーを作ることの重要性はよくわかります。難しいけどね。

こういう本を読むと、私は本当に三流だな、とは実感させられます。

映画:ビフォア・サンライズ 恋人までの距離(DVD)

監督:リチャード・リンクレイター
評価:☆☆☆☆
カウント:1本目@2015年

長距離列車で出会ったアメリカ人の男性とフランス人の女性が、ウィーンの街を夜明けまで1日歩きまくるお話。1日を一緒に過ごすことで、少しずつ2人の距離が近づいていきます。しかしながらアメリカ人の男性は次の日出発の飛行機のチケットを持っている。さてさて。

ほぼ2人芝居なんですが、全然飽きさせません。まだ会ったばかりだけれど、惹かれ合っている男女の微妙な関係性がうまく描かれていると思います。また、ウィーンの街が素敵で、様々な表情を持っているので、若い(でもお金はない)男女が、ただただ街を歩くというだけでも十分に絵になります。素敵ですね。

この作品には、「ビフォア・サンセット」「ビフォア・ミッドナイト」と続編があるようです(未見)。この先、この2人がどうなるのか楽しみです。

2015年2月28日土曜日

書籍:マーケット感覚を身につけよう(Kindle)

著者:ちきりん
評価:☆☆☆☆
カウント:8冊目@2015年

タイトル通り、マーケット感覚を身につけよう、というお話。結婚とか就職とか、一見マーケットに見えなさそうなものも、マーケットを意識することで自分の価値や売り込み方が理解できます。規制してマーケット性を排除しようとしてもうまくいかないし、むしろそちらの方が多くのニーズに対応できず、弱者に厳しい、みたいな主張もあります。常にどのようなニーズがあり、どの程度の価値があるのかを意識することで世の中に対応して生きて生きやすくなる、というのが著者の主張の大筋でしょう。事例は大変豊かでとてもわかりやすいです。そして、私は、著者の主張にはほぼ賛成です。

にもかかわらず、なんだかすっきりしないモヤモヤ感が残る。なんでだろう。うーむ。もう少し考えます。

でも、繰り返しますが、世の中を市場として捉える著者の主張は、大筋で私も賛成です。誰にでもわかるように、事例をあげながら平易に描かれているので、オススメです。

2015年2月24日火曜日

書籍:火星に住むつもりかい?(Kindle)

著者:伊坂幸太郎
評価:☆☆☆☆
カウント:7冊目@2015年

「平和警察」なる組織が警察内に構成され、凶悪犯が民衆の前で斬首刑になるという設定の仙台でのお話。大きな権力と、それに相対する普通の人間という構図は伊坂氏の作品で何度も描かれてきた構図(「魔王」「ゴールデンスランバー」など)ですが、この本もその中の1つ。なお、「火星に住むつもりかい?」という台詞は出てきますが、火星のお話ではありません。

書き込まれたキャラクタがかなり少ない一方、いろんなキャラクタの視点に切り替わっていくので、ちょっと関係性が掴みづらく、読みづらさはあります。一方で、誰かにフォーカスせずに最後まで物語が進むので、誰がキーパーソンかがわかりづらく、そこに謎解き的な面白さがあると思います。特に、これまでの作品では、強大な組織が出てきた場合には、それに対抗する個人の方が中心に描かれていたところ、今回は「平和警察」内の人物たちからの視点でも描かれているところがユニークです。

また、伊坂さんのこれまでの作品では、伏線を目一杯張って、それをうまく回収しました!(回収できてない場合もあるけど)という感じが多かれ少なかれあったけれど、本作では謎解き的要素を残しながらも、物語性を強く打ち出して伏線回収が全然目立たないように作られています。物語のたたみ方が秀逸。

ただ、「平和警察」という仕掛けが、私の好みからするとちょっとあざといですかね。強大な権力を作ることに対する読者の恐怖感を煽る、警鐘を鳴らすというのはとてもよくわかるのだけれど、こういうわかりやすく危ない組織にするよりは、「一見正しそう、でも・・・」という方が好きです。特に内部の人間の視点を入れるのであれば、組織には組織の正義がある、という描き方をする方がもう少しリアリティが増してよかったんじゃないかと思います。

2015年2月23日月曜日

書籍:ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか(Kindle)

著者:ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ
訳者:関美和
評価:☆☆☆☆
カウント:6冊目@2015年

ペイパルの創業者であるピーター・ティールの著書。不勉強にして、ペイパルマフィアなどという称号があるとは知りませんでしたが、彼の仲間はテスラ・モーターズやスペースX、ヤマーなどの各種企業を立ち上げているようです。すごいですね。

そんな彼が「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」と問いかけます。難しいです。でもそれを見つけられれば、ゼロから1を生み出して新たな独占的な製品やサービスを立ち上げることができるのかもしれません。正直なところ、本としてそれほど面白いとは思わないのですが(なんでだろう)、視点は面白いですね。「失敗を繰り返せ!」とか「競争は善だ!」みたいな考えを肯定しないスタンスは、この手の起業家の本としては珍しのではないかと思います。

実はこの本に関しては、ピーター・ティール氏の出版記念講演も聴きに行ってきました。糸井重里氏との対談(インタビュー?)だったのですが、糸井重里氏はピーター・ティール氏の考えというよりも、人間像、なぜ現在のような姿になったのか、といった点に興味があったようで、そこを何度も質問されていたのでなかなか面白かったです。

2015年2月5日木曜日

書籍:流星ワゴン(Kindle)

著者:重松清
評価:☆☆
カウント:5冊目@2015年

仕事及び家庭に行き詰まり、自殺を考える主人公が、突然現れたオデッセイに乗って過去の人生の分岐点に戻るお話。ついでに、死期が迫る父親が、自分と同い年になって登場します。これにより、父親としての自分と子供の関係、及び子供としての自分と父親との関係、の2つのラインで父親と子供の関係が描かれています。

タイムスリップ系のファンタジックな要素を持つ割には、全体的にストーリーが重い。そして中学受験に失敗してひきこもりになる、妻がテレクラにハマっている等、家庭崩壊の設定があまりにありきたり。更に、主軸となる親子関係があまりに説教臭く、どうにも好きになれませんでした。なんでこんな本が100万部も売れるのか私には全く理解できず。

現在放映中のドラマの原作小説ということで読んでみました。ドラマとは、時系列順等はちょっと違います。

2015年2月1日日曜日

書籍:高い窓(紙)

著者:レイモンド・チャンドラー
訳者:村上春樹
評価:☆☆☆☆☆
カウント:4冊目@2015年

私立探偵であるフィリップ・マーロウを主人公とする第3作目の長編小説。

村上訳でリリースされているこのシリーズは全部読んでいますが、この作品が一番親切ですね。謎解きの説明もシンプルだし、伏線の回収も「いま、あそこに出てきた伏線を回収しましたよ」という感じでわかりやすい。推理小説を読むという観点でいえば、ものすごく楽しめると思います。結構良くできたストーリーだし、貴重なコインをめぐる物語なので、そこにロマンチックさを感じさせます。

村上さんがあとがきで書いている通り、確かに登場人物の魅力が少し足りないかなぁという気もしないでもないですが、私は好きです、この話。

2015年1月19日月曜日

書籍:Nのために(紙)

著者:湊かなえ
評価:☆☆☆
カウント:3冊目@2015年

ドラマがものすごく良い出来だったので原作も読んでみました。

湊かなえ氏の「告白」と同様に登場人物たちの自分語りで物語が構成されています。「スカイローズガーデン」で起きた殺人事件に関するミステリーであり、殺人現場に居合わせた4人の人物たちがそれまでの出来事を語ります。

とてもドラマの印象が強かったので、どうしても比べてしまうわけですが。かなり落ちますね。何より、説明過小。杉下と成瀬の関係性、2人が関係を強めることになった火事等についての描写が随分と薄い。そして、安藤の仲間はずれ感が強すぎる。あれだけ関係性が弱ければ、チェーン云々という話にはならないように思う。西崎についてはドラマよりも厚く描写されているけれど、それがまたなんともアンバランスというか、違和感を感じさせるというか。

発生事実等は殆どドラマと同じであるにもかかわらず、ドラマの方が、物語に圧倒的に説得力がありました(ツッコミどころはそれなりにあったけど)。ドラマの出来の良さを再認識させられる原作でした。

湊かなえ氏の原作にしては、不快な人物描写が少なかったのは良かったです。

書籍:悟浄出立(Kindle)

著者:万城目学
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:2冊目@2015年

西遊記、三国志等を踏まえた物語や、「史記」を書いた司馬遷等に関する物語等、中国を舞台とした短篇集です。

万城目学氏といえば、関西を舞台に少々ふざけた世界観で遊ぶ、というのがこれまでの作品でしたが、随分とテイストが異なります。ファンタジー感はなく、じっくりと登場人物たちの心理を掘り下げていく物語ばかりです。全然エンターテイメント感はないけれど、登場人物たちの心の動きがどんどんストーリーに引き込んでいきます。

どれもこれもかなりのクオリティですが、強いて一番の好みを挙げるとすると「父司馬遷」でしょうか。決して父親の愛情を受けたとは言えない娘が、出獄し、抜け殻のようになっている父親に自分の感情をぶつけて動かす姿には、なんとも心を揺さぶられました。

是非とも読んでいただきたい本。おすすめです。

2015年1月9日金曜日

書籍:オリエント急行の殺人(Kindle)

著者:アガサ・クリスティ
訳者:山本やよい
評価:☆☆☆
カウント:1冊目@2015年

言わずと知れた「オリエント急行殺人事件」。エルキュール・ポワロが乗り合わせたオリエント急行で発生した殺人事件の謎を解き明かします。同じ車両に乗り合わせた乗客のみが容疑者となるいわゆるクローズド・サークルです。

名作と名高いだけあって面白いし読ませます。が、トリックが「もしかしたら・・・かなぁ?でもさすがにそれはないか」と思っていたものであり、全く納得できないので、低評価。さすがに実行不可能だろ。でもまぁ、映像化するにはいいかもね。