2015年2月24日火曜日

書籍:火星に住むつもりかい?(Kindle)

著者:伊坂幸太郎
評価:☆☆☆☆
カウント:7冊目@2015年

「平和警察」なる組織が警察内に構成され、凶悪犯が民衆の前で斬首刑になるという設定の仙台でのお話。大きな権力と、それに相対する普通の人間という構図は伊坂氏の作品で何度も描かれてきた構図(「魔王」「ゴールデンスランバー」など)ですが、この本もその中の1つ。なお、「火星に住むつもりかい?」という台詞は出てきますが、火星のお話ではありません。

書き込まれたキャラクタがかなり少ない一方、いろんなキャラクタの視点に切り替わっていくので、ちょっと関係性が掴みづらく、読みづらさはあります。一方で、誰かにフォーカスせずに最後まで物語が進むので、誰がキーパーソンかがわかりづらく、そこに謎解き的な面白さがあると思います。特に、これまでの作品では、強大な組織が出てきた場合には、それに対抗する個人の方が中心に描かれていたところ、今回は「平和警察」内の人物たちからの視点でも描かれているところがユニークです。

また、伊坂さんのこれまでの作品では、伏線を目一杯張って、それをうまく回収しました!(回収できてない場合もあるけど)という感じが多かれ少なかれあったけれど、本作では謎解き的要素を残しながらも、物語性を強く打ち出して伏線回収が全然目立たないように作られています。物語のたたみ方が秀逸。

ただ、「平和警察」という仕掛けが、私の好みからするとちょっとあざといですかね。強大な権力を作ることに対する読者の恐怖感を煽る、警鐘を鳴らすというのはとてもよくわかるのだけれど、こういうわかりやすく危ない組織にするよりは、「一見正しそう、でも・・・」という方が好きです。特に内部の人間の視点を入れるのであれば、組織には組織の正義がある、という描き方をする方がもう少しリアリティが増してよかったんじゃないかと思います。

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