2012年6月4日月曜日

書籍:オリンパス症候群 自壊する「日本型」株式会社

著者:チームFACTA
評価:☆☆
カウント:67冊目@2012

オリンパス事件の背景を追うべく、オリンパスの社内の状況に触れるのは勿論のこと、バブル前からの社会状況や金融政策、マスコミの姿勢等を幅広く網羅している。基本的には、その裏には「ウチ」を優先させる日本人のあり方がある、と主張している。オリンパス事件を含む日本の現状の背景を幅広く分析しようとするこの本の姿勢は優れた姿勢だと思う。

私も、「ウチ」と「ソト」との問題が、オリンパスや山一證券等の各種企業スキャンダルを産んでいると思う。マスコミの知識不足も経済界との癒着もヒドい。オリンパス事件をずっとマトモに報道しなかった事実は論外だと、私も思う。行政のベースにある事なかれ主義や知識不足で政策を作る姿勢等もあり得ない。

しかしながら、この本はマスターベーションにしか見えない。「記者魂」みたいなものに酔っている。読んでいて吐き気を催しました。
・誰に向けて書いているのかわからない。もし、社会一般に向けて書いているのであれば、もっと金融や政策について噛み砕いて説明すべきだし(口語体を使っても、内容が説明されていなければ理解できません)、もしある程度専門家に向けて書いているのであれば、もっとテーマごとに問題点を絞って議論/批判すべき。
・事実の提示があまりにも甘い(おそらく、筆者自身は事実を十二分に掴んでいるのだろうと思うが、読者には不十分にしか提示されていない)。分析も乏しい。単なる自己主張に見える。まず事実を提示し、それに対して分析するとともに、論拠を示しながら批判すべきだと考える。
・難しい内容を、口語体で「~なんだ」と適当な説明しか与えずに「~だよね」と結論を断定してくるのがキモチワルイ。よくわからない読者たちに、自分たちの主張を上から押し付けているような傲慢さを感じる。
・自分たちの過去の成果等を事細かに主張してくる辺りがヤダ。

せっかく、過去20年以上を総決算する良いテーマを扱っているのに、全てが台無し。もっとちゃんと書いてほしい。本当に、この本は勿体ない。

FACTAの、体制と戦う姿勢は買います。戦うために、辛辣な言葉を武器として使う必要も認めます。しかしながら、戦っている事実や自分に酔ってはダメです。報道は、事実や分析を「読者に向けて伝える」ことです。「伝える」努力をしなければ、単なるマスターベーションになってしまいます。勿体ないです。

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