2014年1月17日金曜日

書籍:レイヤー化する世界(Kindle)

著者:佐々木俊尚
評価:☆☆☆
カウント:4冊目@2014年

著者は、歴史のおおまかな流れを振り返ることにより、ヨーロッパなんてつい数百年前まで辺境の地だった、国民国家という概念なんて大した歴史はない、等の歴史的な流れを提示した上で、インターネットなどのテクノロジーの発展、民主主義の伸張等に伴って国民国家は崩壊しつつある、という現状に対するおおまかな世界観を提示しています。その上で、iTunes、Kindle他の<場>という概念が広がってきており、更に個人の属性に相当するレイヤー化が進んでいる、という現状~近未来への展望が示されています。

怪しすぎます。
著者がどのような世界観や歴史感を抱いても構わないのですが、それらの世界観を裏付ける事実の提示に乏しい。ので、説得力が大幅に失われています。読んでいて気持ちが悪すぎです。

加えて、前半の歴史的な経緯の話と、後半の現在~近未来の社会構造の変化の話との間に、あまり関連性を見出せません。前半は社会構造の話に重点が置かれており、後半はテクノロジーに依存する部分に重点が置かれているため、話が完全に分断されているような印象を受けます。後半を読んでいると、前半は何が言いたかったんだろ、って感じです。

そして、近年、<場>という概念が急速に広がりつつある、というのは面白い視点だと思いますし、私も特に異論はないのですが、一方で、社会構造が重層的になっている、すなわちレイヤー化している、という考え方に関しては、特に新しさを感じません。従来から国や個人等の社会構造は重層的になっていたはずです。
実際に著者が言いたかったポイントは、レイヤーの境目が無くなりつつ、若しくは柔軟に変化するようになってきており、加えて、レイヤー間での独立性が高まってきている、という点ではないかと思います。が、その点はイマイチ伝わって来なかったです。私の読解力の問題かもしれませんが。 そして、場とレイヤーの話の関連性もいまいちわかりにくい。

まとめると、書きたい内容や世界観はかなり大きいのに、それが全く説得力をもって提示できていない本だと思います。これくらいの内容を読者に伝えたいのであれば、3~4倍のボリュームが必要ではないかと考えます。内容薄すぎです。

ちょっと辛辣になってしまいましたが、全般的に説得力に欠け、また流れが悪いだけで、書いてある内容自体は別に悪く無いと思います。

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