評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:34冊目@2009
読めば読むほど味が出る本。傑作。少しずつ、色んな事が理解できていく。全てはメタファー。パズルが色々頭の中で組み合わさっていくんだけど、その組み合わせ方は想像力で自由自在、というすごい本。本当によくできてる。多分、心理状態でメタファーの組み合わせ方が色々変化していくんだろうと思う。
カフカくん、ナカタさん、ホシノくん、佐伯さん、大島さん、さくらさん、といった登場人物がみんな不完全で、でも、周りにちゃんと何かを与えようとしていて、誠実に向かい合っていて、それがまた良い。物語のエンターテインメント性が強くて、その中で描かれている内容の解釈が色々あって。本当に、滋養のある小説。村上さんが、心を少しずつ削って紡いでいったんだろうと思う。心が開かれている。
大島さんとの別れのシーンがとても好きです。
「世界はメタファーだ、田村カフカくん」と大島さんは僕の耳もとで言う。「でもね、僕にとっても君にとっても、この図書館だけはなんのメタファーでもない。この図書館はどこに行っても―この図書館だ。僕と君のあいだで、それだけははっきりしておきたい」あと、「ダンスダンスダンス」の僕とユキとの別れも好きでしたが。
「もちろん」と僕は言う。
「とてもソリッドで、個別的で、とくべつな図書館だ。ほかのどんなものにも代用はできない」
僕はうなずく。
「さよなら、田村カフカくん」と大島さんは言う。
「さよなら、大島さん」と僕は言う。「そのネクタイはとても素敵だよ」
彼は僕から離れ、僕の顔をまっすぐ見て微笑む。「いつそれを言ってくれるか、ずっと待っていたんだ」
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