作者:トルストイ
評価:☆☆☆☆☆
面白い。本当に面白い。アンナの自由で、だからこそ不自由で、最終的に悲劇的な結末となってしまう物語は非常に共感できる。一方のリョーヴィンはどうも好きになれないし、共感もしないけれど、最終的には現実的な結論を導く思考の持ち主であるところの私と結構似たようなことを考えていたりする。
テーマは、当初考えていたより複雑で、恋愛や自由、信仰、近代化など、かなり幅広い。近代化や信仰については、現代の日本から見ると若干古めかしさもあるんじゃないかと思うけれど、女性感はかなり現代的。130年も前の小説なのに、女性の視点を、しかも多方面から描いていることに、驚きを禁じ得ない。テーマの掘り下げ方という観点ではカラ兄には劣るけれど、その分物語には入りやすく(宗教の長々とした話がないだけで随分違う)、すらすら読める。どちらが小説として優れるかと言われると、甲乙つけがたいとしか言いようがない。 でも、カラ兄を3回読むのはつらい(重い)けど、アンナ・カレーニナなら連続して3回読めると思う。
あと、解説にも書かれていたけれど、終わろうと思えば何度も終われる場面があるのに、敢えて何度もそこをスルーするのもユニーク。少なくとも、「あそこで終わっとけば良かったのに」とは全く感じさせず、「その後」の微妙な現実を描く姿勢に好感が持てる。
先日知人に「どんな本を読んでるんですか?」と訊かれたので「アンナ・カレーニナ」と答えたら、「あんなかれーにな?ですか?知らないなぁ...」と言われて若干ショックを受けました。
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