2008年11月17日月曜日

書籍:バビロンに帰る

作者:スコット・フィッツジェラルド
編訳:村上春樹
評価:☆☆☆☆

村上さんもA+の出来だ、とおっしゃっていますが、確かに「バビロンに帰る」はかなりクオリティが高い。過去の過ちとそれに対する懲罰と。道が開けたと思ったらそれが閉ざされる哀しみ。だからといって悲観的に過ぎるわけでもなく、冷徹な空気が覆っている。
でも、村上さんが(比較的)酷評している「新緑」も結構好きです。確かに人物像は平板かもしれないけれど、人生のある一面はきちんと捉え、描かれているように感じる。

あとは、何と言っても「スコット・フィッツジェラルド作品集のための序文」は面白い。そんなに長い文章じゃないのに、フィッツジェラルドが歩んできた苦悩、闘ってきたもの、を手に取るように感じることができ、そして、フィッツジェラルドがなぜ特異で傑出しているのかがよくわかる。掘下げも深い。なんでこんな文章が書けるんだろう。
「いちばん底のところで、必要なものが自分に欠けているということはよくわかっている。瀬戸際まで追い詰められて、私は悟ったのだ。本当の勇気と忍耐と自尊心を、自分は持ち合わせていないということを。」(P326)
自分をフィッツジェラルドに重ねるのはなんともおこがましいけれども、でも、フィッツジェラルドですらこういうことを感じていたのかと思うと慰められる。私も、闘わないと。

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