評価:☆☆☆☆☆
カウント:2冊目@2009
一気呵成で読みました。上巻での犯罪に対する視点の掘下げ方に比べると、下巻での登場人物たちの動き方は想像よりも予定調和かなぁという印象は拭えないけれど、それでもかなりまとも。久々に犯罪に対する現代人のまともな視点を見たような気がして、気持ちがすっきりしました。比較的広いテーマをわかりやすく演出しているので、お勧め。
あと、登場人物の視点の切り替え方がうまい。普通、視点が変わると多少は違和感を覚えるものだと思うけれど、この本に関しては殆ど感じませんでした。なぜこんなことが可能なのかは私にはわかりません。
犯罪の由来を、どこまでも厳密に追究していけばね、憎むべき犯罪者なんて神話は、あっさり解体されてしまうよ、有責性は、どこまでも細かく砕かれていって、最後は秤にもかけられないくらいにまでちっぽけになる。(中略)中世のスコラ哲学者が、悪を〈善性の欠如〉と考えて、神の創造したこの世界には非存在だと説いたように、現代では、冗談でもなんでもなく、悪は〈健康の欠如〉に過ぎなくなってる。そうしてその健康の優劣は、生物学的な蓋然性の観点から、極めて説得的に分析されているよ。(P364~365)なかなか鋭い視点。感心。
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