監督:マーク・ロマネク
評価:☆☆☆☆
カウント:9本@2012
カズオ・イシグロの同名小説の映画化。
それなりに長い小説を原作としているにもかかわらず、うまく原作の雰囲気を再現できている。中心として描かれるキャシー、ルース、トミーの3人を取り巻く不気味で謎めいた世界感や、救いのない感情、その中でも希望に縋ろうとする人間らしさといった要素は、見ている側を最後まで惹きつける。やるせなく、とても悲しい。
一方で、ストーリー要約のために、ミステリー的要素は若干損なわれている。原作ではあくまで暗示的にしか提示されない部分を、早々に明示的に示してしまったのは、原作ファンとしては残念。中心人物3人の人間関係の深さ(特に、キャシーとルースの関係)が描ききれていないのも物足りないし、映画しか見ていない観客には理解出来ないだろうと思います。
映像化により得られる世界観があるので、理解が広まっていく感覚はある。日本人の私がイギリスを舞台とした小説を読んで想像する世界観と、この映画で提示される映像との間には結構大きな乖離がありました。特に、キャシーたちが過ごす学校であるヘールシャムがなかなか素敵で、確かに、これだったら他の学校出身者たちから「恵まれている」と言われるよなぁ、と感心しました。
こういった物語を通して、人間の尊厳がどこにあるのかという問題をつきつけるカズオ・イシグロは凄い。
<オススメ度>映画のみよりは、原作と合わせて見ることをお勧めします。
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