2012年3月22日木曜日

書籍:ブレア回顧録〈下〉

著者:トニー・ブレア
訳者:石塚雅彦
評価:☆☆☆☆☆☆
カウント:32冊目@2012

ブレアによる首相就任期間を中心とした回顧録。下巻では、特に9.11以降のイラク/アフガニスタン政策が大きな割合を占めている。

次第に支持率が低くなり、メディアにも叩かれ、ブラウンには足を引っ張られ、といった経験をしているにも関わらず、イラク戦争はやるべき戦争であったと今でも断言し、ニューレーバーは正しい道だと信じている、その断固とした姿勢がリーダーシップに最も必要な要件なんだと思う。経済自由化を標榜しつつ、教育や福祉制度、人権問題では左寄りの姿勢を見せるブレアの姿勢は、私の考えと極めて近い。イラク戦争についても、確かにブレアの口から語られると納得はできなくとも理解はできる。 うまくいかなかったことや間違いを率直に認める姿勢も素晴らしい。見習いたい。

ブレアは、国民との距離が生まれたことの理由として以下のように記載している。
それが目的地に着くためだと思うなら、まっしぐらに進む覚悟ができていた。世論と”接触している”ことはもはや指針ではなかった。”正しいことをする”がそれに取って代わっていた。(pp.438-439)
その姿勢は専制的/独善的となる危険性を帯びつつも、改革を前に進めるために必要なものだと思う。妥協に妥協を重ねて真ん中に線を引きたがる日本の政治家や経営者たちに見習って欲しい。そして、独善的になってしまったとしても、最終的に(公正な)選挙さえあれば、戻す余地はありますからね。
正論で突破していく姿は、日本で言うと小泉元首相に大きく通じるところがあるけれど、ブレアの方がより徹底しているし、やりきっているし、政策の幅も広い。政策を理解して行動してくれる周囲の人材の多さや、政権の長さの辺りが要因なんだろうか。少なくとも私には「小泉改革、物足りないよ!」と思えます。

イギリスの内政事情とか政治家とかどのように報道されたかなんて全然知らないので(浅学)、ボカして書かれている部分については、どういうことが意図されているのかよくわかりませんでした。それが残念。脚注をもっと入れてくれれば、もう少し理解できたかも。ブレアがどのように改革を進め、その上で10年の長期政権を守ったのか、その手腕を少しでも詳細に知ることで、そこから学べることはたくさんあることは明白です。
日本人で、結果を残した人が、こういう風に詳細な優れた自伝を書いた例って全く思いつかない(私が知らないだけ?)。そもそも、日本の本って基本的に薄いものが多いと思う。なんでだろ。

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